アストルチアの謎

ドラクエ10の設定、物語について語る、予定

ドラゴンクエストX v5全体感想(世界観について_その1の補足)


前回記事の補足を少し。

■冥王ネルゲルのモチベ
前回はシュキエルのセリフを元に
「魔族とひとくくりになっているが、v1~v2(特にv1)の主敵は、異界滅神の手先としての側面が強いのでは」との推測でした。
レイダメテスプロジェクトによって、死者の魂から作られた、いわば人造の大魔王というべきネルゲル。彼は生まれたての状態だと思いますが、その意思はどういうものだったのか。
思い出映写機でネルゲルの今際の際のセリフを見るとその強い思いが見て取れます。これは完全に異界滅神の眷属としてのものです。

「だが まだ 倒れるわけには行かぬっ!
我には 全世界を闇の封印に落とすという大望があるのだ。」
「いずれ 深き闇の根源より さらなる災厄が 生まれ落ち
この世界に 滅びをもたらすだろう……。」
「だが 我を倒しても 我を生みだせし闇の根源が
絶たれたわけではない。」

冥王プロジェクトは、誰が主導して行われたのか作中では明言はされていませんが、ユシュカがネルゲルの存在を知らない事もかんがみ、少なくとも魔界の魔族を移住させようとか、そういうヌルい目的ではないのは明らかかと思います(多分、魔祖あたりの企画だと想像してます)。

■大魔王マデサゴーラのモチベ
大魔王マデサゴーラについても少し振り返ります。本当は何がしたかったのか。
マデサゴーラはv2の当初、傲岸不遜だが人間くささのある大魔王であり、偽の世界を真の世界に上書きするという斬新な侵略手法を用いました。
異界滅神(闇の根源)に与えられたミッションとして、世界を破滅に追い込むはずの大魔王だったが創造主たらんとし、創生の霊核を利用してつくりあげた偽の世界も人間味のある世界で、これはある種、異界滅神への反逆ではないかとも思える態度で、上司ジャゴヌバにこっそりと歯向かう野心的な部下マデサゴーラのような関係のようにも、v2時点ではみえました。

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マデっさん

しかしこれは、v5に入って魔族の実態があきらかになり、人類(6種族)から派生した魔族という種族は、魔瘴にある程度適応しつつも、人間と同じく魔瘴に苦しむ種族で、魔瘴の大もとである異界滅神と魔族の長である大魔王は相いれぬ存在であることがわかってきました。
そもそも、異界滅神にとってみれば、女神の被造物である魔族は最終的に滅ぼすべき存在です。
5.5ではゴダやヴァルザードなどの有力大魔王は異界滅神をどう出し抜くかという事に腐心していたことがあきらかになり、マデサゴーラが特殊なわけではなく、そもそも大魔王と異界滅神は構造的に対立するものだったと。

そうなってくると、大魔王マデサゴーラのモチベーションは本来、魔瘴に苦しんでいる自国ゴーラはもちろんのこと、大魔王として魔界の民を生き延びさせる事にあるはずで(芸術家としての云々はあるにせよ)、おそらくはアストルティアへの植民が主目的だったんでしょう(ヴァレリアと同じ)。
もしかしたらヴァルザードのように、異界滅神の調査・討伐を最終的には考えていたかもですね。

ネルゲルと同盟を組んでいたとのことですが、ネルゲルは異界滅神の手先なので、ネルゲルがアストルティアを完全に滅ぼしてしまうおそれがあり、作中のタイミングでの出兵となったのでしょう。


マデサゴーラの戦略はなかば成功しており、ソーラリア峡谷の代わりに魔幻宮殿を真世界に顕現させていたので、情勢が落ちつけば魔界から人びとを呼び寄せることはできたはずです。また偽グランゼドーラなどを顕現させられれば、みずから作り上げた国々と自作自演で同盟締結などをして人類と共存関係を築くことができただろうし、そういう戦略だったのではと思っています。人類と共存していけば異界滅神が黙っていないでしょうし、それを見越して逆にマデサゴーラ主導で異界滅神討伐に乗り出したかもしれません。
しかし、あえなく女神側が誇る強力な勇者システムに阻まれてしまった、というところなのかと思います。





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